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先日，昔の友人たちに会うために，かつて住んでいた街を十数年ぶりに訪れた。
仕事の後であり，あたりは真っ暗。かつてこどもの声がもっと聞こえていたはずの団地も，ひっそりしていて，部屋の明かりがついてない窓がずいぶん多かった。
道路や公園はきれいに整えられてはいたが，何か寂しいものを感じた。

友人たちは，かつてのままだった。結婚しこどもも大きくなり，かつて自分たちがこどもぐらいの年齢のときの親の年齢に，既に自分たちが達してしまっている事実に愕然としつつも，再会・食事のひとときの時間だけば数十年のときを超えてかつての自分たちに戻って思い出を語りや近況報告し合ったりして一瞬の楽しいひとときを過ごした。また機会があればと再会の約束をして，街を後にした。

かつて住んでいた団地の住所も，区画整理で様式が代わり，更に今年から政令指定都市になって区名まで入るようになった。こども時代の私が知ったらびっくりするような変化だ。帰りの都心に向かう私鉄の電車は，私にとっては過去と現在を結ぶタイムマシンのようだ。この電車の中で，ふとこども時代の私が舞い降りたらどう感じるだろう。車窓の風景，車内の中吊広告，掌の上の小さな物体とにらめっこする大人の人々。そして，今の自分自身と会ったら，こども時代の私はどう思うだろうか。優しくてかっこいいおじさんだ，僕もこのような大人になるために頑張るんだ，と思ってくれるような大人に私はなっているだろうか。だとしたら嬉しいのだが。

クリスマスまで一週間。新しい年まで二週間。こども時代のときほど，年末年始の心のときめきはなくなってしまっているのが我ながら寂しいが，その分，今のこどもたちが年末年始に，私の代わりにそう感じてくれるようであれば私は満足だ。そのために自分がすこしでも手助けできればと思う。

私のタイムマシンは終着駅につき，また日常に戻った。またタイムマシンに乗る機会を楽しみにしつつ，大人の現実の社会に戻り，戦いの日々を生き抜かなくては・・・。