元号とは,もともとはその時代の権力者が,時をも支配するという意味で制定した制度であり,文字通りに捉えるならば,「その時の天皇の治世何年目か」という意味である。
しかし,明治時代以降,大正,昭和,平成の3代については,その時代の前の天皇が崩御,つまり亡くなった時点からの年を表すものとなっている。
つまり,大正10年ということは,「明治天皇崩御後10年目」
昭和20年ということは,「大正天皇崩御後20年目」
平成30年ということは,「昭和天皇崩御後30年目」
という意味でもある。
元号は,その点で,現時点の天皇と同時に,前の天皇によって支配されている時間ということも言える。
そう考えると,国歌とされている「君が代」,あの,よく言えば荘厳,あえて厳しい言い方をすれば重々しい雰囲気の音楽は,亡くなった天皇を偲ぶ葬送歌,といってもあながち間違いではないようにも感じる。
「君が代」は,世界各国の国歌と比較すると,その独特さに特別な美を感じる一方,決して気分が高揚する曲調ではないので,オリンピックの表彰式など,華々しく明るい場において「君が代」が流れると,何とも微妙な感じもするというのも正直なところである。

今回,平成の次の年号は,天皇の死を契機に代わるものではないので,大正以降初めて,「前の天皇の死によって支配される」ものではなくなる。日本が他国と戦争することもなく「平成」という時代が終わろうとしているのは本当に幸いなことである。「平成最後」という言葉が無邪気に使われるこの時,やや平和ボケの傾向も感じるものの,「平和ボケ」が許される時代であることの幸せもかみしめたいものである。

次回からは,平成時代を5年毎に振り返っていきたいものである。