矢口十思夫の平成後期徒然よろずほぼ半旬記

身の周りの出来事から日本・世界のニュースまで、感じたこと、考えたことを自分の思ったまま率直に記すエッセイ/コラム。 2018年の更新頻度は不規則も,平均では5日に一度の頻度を維持予定。

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世間でもてはやされるのは,いかに「うまく生きていくか」のノウハウばかりのようだ。
いかに手際よく,役に立つ知識を得,効率的に稼げる職業に就き,人より優位なポジションにつき,他人にうらやましがられるような暮らしをし,・・・・
しかし,それで本当に人生,心底から楽しいのだろうか。充実した気持ちで日々を過ごすことができるのだろうか。
たとえ,うまくいかなくても,失敗ばかりでも,本当に好きなことに打ち込み,その結果,隣人に喜びや楽しみを分け与えることができれば,たとえそのために恵まれない境遇におかれていたとしても,きっとその人の人生は真の意味で豊かで実り多いものだったのだろうと思う。
思えば,伝記に残る偉人たちの人生は,うまくいった出来事の裏に,その何倍,何十倍もの悩み苦しみがある。しかし,実は当の本人は,他者から見るほどそれほど悩みや苦しみを感じず,むしろそれをすら喜びや楽しみに変えて力強く与えられた生き方を満喫しているようにも感じる。

我が子は昨日から小学三年生。勉強も,理科・社会が始まり,算数では割り算も始まったりして,一段と内容が難しくなってくる。それらを難しいといって逃げるのではなく,乗り越えた先の豊かな世界があると信じ,勉強の過程を楽しんで日々過ごしてほしいと思っている。
「うまく生きよう」とせずに,自分の好きなことにとことんこだわり,そこから与えられた力で自分の人生を切り開いていく「あつく生きる」姿勢を我が子は持っていてほしいものである。

IMG_20170127_154832昨今は何事も効率が求められる。最小のコストで最大のパフォーマンスを得ることがもてはやされる時代だ。
仕事でも教育でも,あらゆる方面で,少しでも無理・無駄・ムラがあると,いろいろ批判・非難されてしまう。
無理・無駄・ムラを生じる最大の敵は失敗である。だから,失敗を避けるために,人々は安全志向を高め,少しでも実績のある,リスクの少ない選択肢を選ぼうとする。

しかし,効率ばかりを求める社会が果たして本当に幸福なのかどうかは議論の余地があるように思う。
何でもかんでも,ちょっとした利益を確保するために,失敗を恐れて窮屈な生き方をしていても,楽しいとは感じられない。
人生の目的は何か。うまく生きることなのか。投資効果を最大化することが最も価値あることなのだろうか。

大きな果実を得るためには,一時期は無駄に見られること,思い切り非効率なことをしないといけない時もあるのではないか。
医者や弁護士になるためには,やはりそれなりの勉強を時間をかけてしないと高度な知識を得ることは出来ない。一流のスポーツ選手や音楽家になるためには,普通の人の何倍もの時間と労力をかけて練習・稽古に励む必要はある。もちろん,勉強法・練習方法の中には,より効率的に行う方法論はあることはあるだろうが,本物の人物,本物の仕事をするためには,一定以上のコストはかけなければいけないはず。そもそも,勉強や練習・稽古自体の中に好きなことを見つけて,進んで努力する気持ちを持てる人だけが,そのような道を歩んでいけるものなのではないか。

どのような人にも,自分の好きなこと,夢中になれるものはある。そのために,他のことは効率的に済ませ,好きなことのために効率を度外視して集中することこそが,人生をより良く生きる秘訣なのかもしれない。

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なぜこのようなことを書いたかというと,今年最初の四半期のスポーツシーンを見てそのことをまざまざと感じたからだ。大相撲の稀勢の里,WBCの日本代表,そして選抜高校野球。
今年の選抜高校野球大会で,八強に残ったのは,複数チームが出場している府県のチームばかりである。そして,まさかの延長再試合が二試合連続で発生している。
巧くやろうという気持ちよりも,とにかく全身全霊を懸けて勝つためにひたすら頑張ろうという姿勢が,結果的に実を結ぶことが多いようだ。

かくして,2016年度は幕を閉じていく。来る素数年度,2017年度は果たしてどんな年度になるだろうか。

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